7月1日(金)

 

新しい月が始まったので、自分なりに少しずつ生き方を変えていきたいと思うおれです。おはようございます。汗だくになりながら起床したのは午前11時半ごろ。昨日と同じ1日にだけはすまいと、とりあえず自室のベッドからすばやく立ち去り、シャワーを浴びることにしました。音楽がないと頭を切り変えられないので、ノラジョーンズの曲をかけながら浴室に向かいました。iPhoneは洗面所に置きます。シャワーを浴びながら音楽が聴けないのがもどかしい。

リビングに行くと、いつものように父がおにぎりとたくわん、それからサラダを置いてくれていました。昨夜遅く、私はコンビニをはしごしながら、適当に買った酒を片手に、夜道を一人で散歩していたのですが、そのせいで珍しく深酒をし、生まれて初めて酒で嘔吐してしまいました。よって今朝も気分が悪く、朝食(昼食)は抜くことにしました。食事は皿ごとラップをかけて冷蔵庫にしまいました。

今日こそは生活に変化を起こそうと、とりあえず参議院選挙の期日前投票に行くことにしました。選挙のやり方は、ググって見たけどよくわかりません。父にそれとなく話しかけ(少し白々しかったかもしれない)、家に届いていた投票用紙を受け取りました。気持ちを落ち着かせるためにコーヒーを一杯飲み干して、一階の居間に降りました。冷えたソファに包まれながら、またノラジョーンズの音楽を2、3曲聴いて心を落ち着けます。トイレで用を済ませた後、自転車に乗って玄関を出ました。

 

投票に行く前に私はまず近所の祖父母の家へ向かいました。外は眩しいくらいに晴れていて、蒸し暑くはないにしろ、うっすらと汗をかくほどでした。祖父母と会うのはかなり久しぶりでした。地元に帰ってきているのになぜだかずっと会いに行けませんでした。懐かしい玄関に立つと、私は少し緊張しながら網戸を開け、「おれですよー」とおどけて声をかけました。祖母が出てきました。祖母は少し驚きながら私を迎え、私はぎこちなく家に入りました。

祖父母の家には30分もいなかったと思います。祖母は何度も私に「元気だったかい?」と聞きましたが、私は「まあ、うん」と、あまり上手に答えられませんでした。大学を中退し、就職もせずにフラフラしている孫を受け入れてくれるかどうか、私は祖母との会話に懐かしさを感じながら、同時にどう口を開いたらいいのかわからずにいました。昔からずっとそうだったように、祖母はなるべく核心に触れないように話を進めます。アイスコーヒーを飲みながら、覚醒剤で逮捕された芸能人のことや、参議院選挙のことについて軽く言葉を交わすと、それから程なく、私は家を出ました。帰り際トイレに入ろうとしたら、中にズボンを下ろした祖父がいて驚きました。祖父と顔を合わせたのはそれきりでした。

 

投票所で用事を済ませると、それからはもうすることがありませんでした。私はとりあえず駅に向かい、電車で新潟へ向かうことにしました。駅前には『若者サポートステーション』という施設があります。何もかもを失った私は、最悪ここでサポートを受けるくらいしか、現実的にもう選択肢が残されていないと感じています。窓越しにおそるおそる中を覗きつつ、でもやっぱり怖くなって目の前を通り過ぎていきました。昼下がりの熱気に汗だくになりながら、駅で電車を待ちました。ブログを書いていましたが、スマホの電池は残りわずか。やがて電池が切れました。

電車に乗っていると、次第に気分が悪くなってきました。腹には空気が溜まっていて、時々吐き気が込み上げてきます。昨夜の酒のせいか、それともコーヒーを飲み過ぎたせいか、どちらにせよ思考はどんどん悪い方へ加速していきました。平静を保つため、新潟に着くとすぐにトイレへ駆け込みました。駅前は人が多く、それがまた一層気分を悪くさせました。

 

それからはどうしたんだろう。携帯を充電しようととりあえず図書館に向かったけれど、今日はあいにく休館で、仕方なく近くの公園で本を読んでいたんだったかな。緑が多い公園でベンチに寝転びながら、糸井重里の『はたらきたい』という本を読んでいました。就職関連の本は焦燥感を煽ってくるものばかりであまり好きではありません。でもこの本はその逆で、読むうちに心が静まっていきました。

気分が良くなってきたので、辺りを散歩することにしました。見覚えのある道を歩いていくと海の近くに魚市場が見えてきました。腹も空いてきたので、早めの夕食に近くの食堂で刺身定食を食べました(それより安いブリの海鮮丼にすればよかった)。その後は海沿いの道を歩いていき、ベンチに座りながらぼーっと海を眺めていました。辺りの雰囲気はなんとなく熱海の海に似ているような気がしました。後ろに芝生が広がっていたので、人目もはばからずレジャーシートを引いて、今度は仰向けになって空を眺めました。空を見ると、飛蚊症がイヤでも気になってしまいます。「自分の世界ばかり考えるのはこのせいもあるのかな」と考えたりしながら、しばらくずっとそうしていました。

空が少し暗くなり始めた頃、私は近くにある『朱鷺メッセ』という大きな建造物に入っていきました。人の気配はほとんどありません。施設は港の先までずっと長く続いていて、私はその巨大な空間をひとりで歩いて行きました。空が暗くなるにつれ、道は美しくライトアップされていきます。私の歩く音だけが響き、通路はどこまでも伸びていました。「佐渡へようこそ」というのぼりを見かけて、私はようやくそこが『佐渡汽船』に続く通路であることに気が付きました。そう言えばいつか佐渡にも行ったなぁ。明かりがきらきらと灯る夜の港を見渡しながら、私はこの辺りで見切りをつけて駅への帰路につくことにしました。

 

電車に乗っていると「ここにいる人たちにはみんなそれぞれ生活があるんだなぁ」とまた少しみじめな気持ちになっていきました。気分が落ち着かないと、身体の中心が空っぽになっているかのような、ふわふわと足が地面から浮き上がっていくかのような感覚になります。周りの人の顔色を伺いながら、呼吸を整え、胸のざわつきを抑えました。

駅に着くと、そのまま自転車に乗って家に帰宅しました。自室に入り、誰もいないかと思って大声で熱唱していたら意外にも父がいて、恥ずかしさに悶絶していました。そして今、こうしてブログを書いています。もうシャワーを浴びて寝ようと思います。今日はそんな1日になりました。 

 

《つづく》