福岡にて(5)

天神駅付近ウエストにて

居場所がなくて、回遊魚のように地下街の同じところを歩き回っていた。回遊魚のように、という比喩の使い方がこれで合っているのかどうかは知らないけれど、とにかく寒い中ずっと歩き回っていたんだよということを私は言いたい。こんなとき一緒に「疲れたね」と言い合える誰かがいれば、それだけで気持ちはたいぶ変わるのだろう。しかし私にとってのその誰かは数年前からこの日記になっているので、遠慮なくここに吐き出したい。疲れたね。

今朝は、諸事情で昨夜宿泊したネットカフェを午前5時頃には出発しなければならなかったので、かれこれ2時間以上は歩いていたことになる。暖かくて、座れて、なるべく静かで落ち着いたところを探していたのだが、まだほとんどの店がシャッターを閉めている早朝の都会にそんな都合の良い場所があるはずもなく、立ち止まると寒いから、ただただ歩き続けているしかなかった。「24時間営業」という文字が書かれた看板に導かれて、ようやく寒さを凌げる場所にたどり着いたのは午前7時過ぎ。カウンターのテーブルは付着した油分が拭き切れておらず、触るとベタベタして不快だった。更にさっきから隣りで話をしている二人組の女性たちの声が大変うるさく、聞きたくなくても聞こえてくる会話の内容も大変お粗末だったので輪をかけて不快になった。眠気や疲れもあるのだろうが、都会にいるとものすごい勢いで人間を嫌いになっていくのを感じる。よくない。

福岡空港にて

空港に着いた。そのまま2時間くらい適当に街をぶらぶら歩いてから、さらに歩いて空港まで向かったので、いい加減もう足がジンジンしている。今回の放浪を締めくくる最後の追い込みという感じがあった。時刻は13時8分。飛行機の出発時刻は16時40分なので、まだまだ時間はあるけれど、適当に座ったこのベンチからはもう一切動きたくないと思う。疲れた。

 

 

 

電車にて

19時43分。成田空港から横浜の菊名駅を目指して電車に乗っている。16時半頃に福岡空港から飛び立った飛行機は、さきほど無事に成田空港へと到着した。機内では何故かとても深く眠りに就くことができたので、先程と比べてかなり元気になった。

元気になったときに元気じゃなかったときの自分が書いた文章を読むと、自分が恥ずかしくなるというかもっとしっかりしろよと思う。でも、そこで私がしっかりした文章をここに書きはじめてしまったら、自分の思ったことや考えたことを誰にも気兼ねなく思い切り解放できる場所がこの世からどこにも無くなってしまう。そんなことがあったら私は生きていけない。自分で自分の首を締めるようなことはしたくない。弱音や不安は感じた瞬間に言葉にして外へ吐き出す、それが私のやり方だ。みっともないかもしれないけれども、その方が生きやすくなるならそうしたい。美しくあろうとして生きるのに苦しむくらいなら、みっともなくてもただ漫然と生き続けていくことの方を選びたい。

(更新中)