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9月7日(水)

落書き用のペンを探して2駅ほど離れた街に来ていたはずなのに、少し前に食べた特盛濃厚とんこつ醤油ラーメンのせいで猛烈に気分が悪くなり、今は、近くのデパートにある靴屋のベンチの上でグッタリしながらブログを更新している。スマホが電池切れ寸前だったのだが、リュックの中にあったモバイルバッテリーに充電が残っていたおかげで助かった。デパートにかかるBGMが無駄にファンキーでカンに触る。しかしまあ、とにかく座る場所があって良かった。冷房も効いている。少し身体を休めながら、また今日もブログを書こう。

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残暑が厳しい。汗ばんだTシャツから臭ってくる自分の体臭が、さっきから不快でならない。さっさとフロ入って寝たい。

ブログを書こうと思ったけど、信じられないくらい眠くなってきた。満員電車に耐えきれる気がしないので、もう少しだけ休もう。一日中街を練り歩いていたから、身体がひどく疲れている。

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街にベンチが置いてなければ、とっくにおれは死んでいたと思う。目の前で高齢の女性が一瞬立ち止まり、また来た方へと戻っていった。文明に馴染めていなそうな爺ちゃん婆ちゃんを見るといつも妙に心が穏やかになるのはどうしてだろう。ぐったりとベンチに腰かけると、通り過ぎていく人たちの声が聞こえてきた。こんなに蒸し暑いのにぴったりと身体を寄せ合いながら歩くカップルの話し声。照れるおじさんを取り囲んで、腹を抱えながら笑う3人組の女性たち。隣のベンチに腰掛ける二人の男性は、なにやらくぐもった声で話をしている。カバンを3つも抱えた女性がサンダルをペタペタ鳴らして歩いていくと、帰宅途中のサラリーマンが「カチ」という音を立ててタバコに火を灯す。通り過ぎていく人たちの靴音が混ざり合い、過ぎ去ってはまた押し寄せてくる。人通りが穏やかになると、高架下の茂みから鈴虫の声が聞こえてきた。

眠い。今日はもうさっさと帰ろう。

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電車に乗っていたら、突然、アルコールと酸っぱい何かが混ざったような異様な臭いがした。乗客も不自然に座席を変えたりして、車内の雰囲気がいつもと違う。後ろを振り返ると、うなだれながら座っているサラリーマンの周りに、水っぽい吐瀉物が広がっていた。隣に座っていた男性が、あからさまに嫌そうな顔をしながら、私の目の前を立ち去っていく。周りの人たちの目もなんとなくピリピリしていて、誰も何も言わなかったけれど、車内には明らかにイヤな空気が満ちていた。おれはどうすれば良かったんだろう。こういう場面にでくわすと、なぜかいつも「試されている」という想いに駆られて、結局、何もできないで終わる。たしかに臭かったけど、たしかにさっさと立ち去りたかったけど、そして現に、すぐに次の駅で降りたんだけど、でも、本当にかっこいい大人はこんなことしない気がする。

都内にいると、道端に空っぽの缶を置いてへたり込んでいる路上生活者の人や、怪しげな募金を呼びかけている外国人の人をよく見かける。その度に、自分がどういう目付きで彼らを見たらいいのか、一瞬考えてしまう。街中を歩いている足の悪い人、車椅子に乗っている人、おそらく何かの障がいを抱えているだろうと思われる人も同様だ。ぼんやりと雑踏を眺めていると、やはりパッと目が行ってしまうことが多いのだけど、でも、自分のその目の中に何らの醜さもないかと言えば、たぶん、そうではないと思う。何の感情を込めたつもりがなくても、おそらく反射的に視線を向けてしまうこと自体の中に、後で自分が自分に「醜い」と感じてしまうものの萌芽があるような気がする。同じく、車内で泣き喚く赤ちゃんや酒に酔って暴れる男性に対してもそうだ。疲れている時ほど、一瞬「パッ」と視線を送ってしまう自分の目の中に冷たいイヤな感情が流れていることを感じる。 

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街を歩いていたら、市民ホールのような施設にたどり着いた。某宗教系の大学の落語研究会の学生が何やらイベントをやるらしく、玄関付近ではその呼び込みをしていた。私は宗教に対して特に偏見を持っていないつもりだったのだが、やはり、なんの先入観も持っていないかと言えば、そうではないのだろう。で、「そういう自分、どうなん?」と思ってちょっと覗いてみようかと迷ったのだが、「すいません、当日券とかってありますか?」という一言が出てこなかった。別に、その宗教がどうだ、とか言う話ではない。過去に、駅前で女性三人組に逆ナンパされたと思いきや後日ガストで強引に新興宗教の勧誘を受けて大変な目にあった、ということはあったけど、宗教自体は別に良いとも悪いとも思わない。信じたい人が信じていればいいと思う。でも、あんまあれかな、宗教とかについて書くのは結構めんどくさいかもしれないから、また今度まとめて書くことにしよう。とりあえずそういうことがあった。

それから、スーパーの入り口付近にあるイートインコーナーにやたら目が合う暇そうなおじさんがいたのでまた「試されている…」と思ったんだけど、結局、話しかけられなかった。ていうかまあ、話しかける必要なんて別にないんだけど、でも、もしおれがバイトの張り紙を見てすぐに電話をかけられるような人間だったら、嘔吐したサラリーマンに「大丈夫ですか?」の一声でもかけられたと思うし、宗教系の大学の落語研究会のノリってどんなもんか?と思った勢いそのままにイベントにも参加してただろうし、暇そうにベンチに腰掛けてるおじさんに世間話の一つでもしてた気がするんだよなー。書きながら思い出したけど、今朝、おれが落としたSUICAを渡すためにわざわざトイレの中まで追いかけてきてくれたおじさんがいたんですよ。「ほんじゃ」って笑いながらすぐどっか行ったけど、いやーかっこよかったなー。ああいうおじさんになりたい。寝ます。おやすみなさい。

《つづく》