12月13日(火)

自分自身と良い関係を築くのは難しい。昨日の夜、一昨日辞めたばかりのはずのツイッターをこっそりブラウザ上から覗いてみたら、いつもお世話になっている素敵な雰囲気を醸し出しているK編集長からわざわざ言及があり、私のブログまで紹介してくれていた。これは私も反応しないわけにはいかないと、反射的に自分のツイッターにログインし、一度捨てたはずの自分のアカウントを取り戻してしまった。「た、ただいま。。照」と返信してみたけれど、これが正解だったのかわからないからしばらくドキドキしながら画面を見つめる。すると、それに「かわいい!」と言及してくださる方がどこからともなく登場して、私は「ああ、ツイッターやってて良かったな」と思った。「こういうこともあるんだな」と。

それから日頃お世話になっている素敵な雰囲気を醸し出しているHプロデューサーから連絡があり、「明日の早朝、関東方面に車で向かおうと思っているけど良かったら乗らないかい?」とのお誘いを受ける。外力によってしか自分を駆動できない私は、新潟の冬にやられてメンタルを損ないがちな毎日から少しでも距離を置きたいと思って、「私をぜひ暖かい関東へ連れて行ってくださいお誘いありがとうございます」と返答したけれどそれと同時にイヤな予感がした。左のこめかみ辺りから頭痛がし始めていたのだ。おそらく風邪を引きはじめている。そしてその夜はなぜか床に就いても全く寝付けず、深夜5時になっても眠れなかった私はさらにメンタルが絶不調になっていく。そして気が付いたら約束の6時。ということで今回はドタキャンさせていただく形になったわけだが、H氏には大変申し訳ないことをしてしまった。

自分自身と良い関係を築くのは難しい。自分自身と良い関係を築くことができないと、その先にいる現実の他者とも良い関係を築くことができない。コミュニケーション全般において、私は基本的に自分を相手より低く見積もるところから出発して実際に話をする中で後から修正を図っていこうとするタイプの人間なのだが、それがヘンな暴走の仕方をして周囲に迷惑をかけることもしばしばある。自分で自分を卑下していると、卑下した分だけ後からヘンな揺り戻しが起こったりする。

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ツイッターのアカウントを消そうと思ったとき、私は心の中で一つの懐かしい記憶を思い出していた。それは私がまだ5歳か6歳の頃。家族みんなで服屋さんか何かに買い物に出掛けたとき、私はわざと家族の輪から外れて遠くの方まで一人で店内をうろつき回っていたことがあった。私にはそうする目的があった。私は家族に自分が迷子になったと思わせて、自分を探させたいと思っていたのだ。私を心配してほしい、私がいなくなったらどんなに不安かを感じてほしいと思っていた。そういえば、海水浴に出かけたときなんかもそうだ。私は家族が遊んでいる付近からわざわざ遠くの方へと泳ぎに行った。浮き輪で波に揺られながら、小さく見える父や姉が私を探し出すのをジッと楽しみに待っていた。「もうそろそろ帰るよ」なんて言われてすぐに合流してしまってはつまらないと思っていた。それから、夜、布団の中に入って「今夜はどんな夢を見ようか」と考えたりするときなんかには「自分の葬式の夢を見てみたい、自分が死んだときに皆がどのような反応をするかを知りたい」と思ったりしていた。他の人がどうなのか知らないけれど、私にはそういうところがある。

それでいて私は、自分が家族の誰にも気付かれることなく置いていかれてしまうことをなによりも恐れていた。今でもたまに見る夢がある。そこでは明日家族みんなで温泉旅行に行こうということになっているのだけど、でもなぜか私一人だけ荷作りなんかをしているうちに彼らに置いてけぼりにされてしまうのだ。実際にそんなことがあったわけではないけれど、似たようなことならあった。家族で夏祭りに出掛けたとき、私と姉が出店でいつまでもオモチャをねだっていると、それに怒った父が私たちを置いていってしまったのだ。夏の夜にオレンジ色の出店の灯りがポツポツと光っている様子と、知らない人たちがざわざわと自分の周りを取り囲んでいる不安とが混ざり合った、独特の風景が今でも心に残っている。

それにしても、この置いていかれるということの恐怖はどこからやってくるのだろう。こうして思い出してみると、私が子どもの頃に感じていた恐怖のほとんどは、自分が一人ぼっちになってしまうこと、そしてそのことにすら誰も気が付いてくれないことにあったような気がする。去年辺りからずっとそうだけど、私は子どもの頃の記憶をよく思い出すようになった。恋人がいたときなんかはとくに、自分がその当時の自分に戻ってしまっているようにも感じた。今でもそうだ。私は自分のことをどこかで未だに子どもだと思っている。

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〈更新中〉