#7

猛烈な眠気に襲われている。時刻は8時35分。

朝靄が立ち込める中、マクドナルドを出た私は、空腹に耐えきれず結局すき家へ向かった。ひとくち目に口にした牛丼は溶けるように甘かったが、それからは味わおうという気も起きることなく、ものの一分ほどで完食。久しぶりに供給された栄養に胃が驚いたのか、食べたものが胃に入る直前で詰まったかのような気分の悪い状態に陥る。店内に置かれていたお湯を流し込んでみるが大して変化はなくコンビニにて味噌汁を購入。バス停のベンチに腰掛けながら味噌汁をすすると、いくらか気分もほぐれてきた。それから居場所を求めて近くのファミレスへ。もう腹は減っていなかったので迷ったが、トーストセットを注文する。食べ終わったのが8時ごろ。それから、机の上に突っ伏して仮眠を取っていた。眠すぎる。

 

昨日はたっぷり睡眠を取ったために気分がすこぶる良かったが、今はすこぶる悪い。理由は睡眠を取らなかったから。シンプルだ。世の中はいつだってシンプルな原理に支配されている。やはり夜は寝ないとダメですね。夜に寝て、朝に起きる。すべてはそこから始まるのだ。

今の私にはもう睡眠のことしか頭にない。睡眠以外は目に入らない。眠ること以外、価値のあるものは存在しない。寝たい。とにかく。

というわけで、猛烈に実家に帰って爆睡したくなった私は高速バスの料金を調べる。しかし土日だから安くても4300円ほど、と、予約するのに少し躊躇するお値段。どうせ宿の料金も休日価格に上がっているだろう。つらい。昨夜は宿代をケチるためにマクドナルドで徹夜したというのに、それが裏目に出た形になる。平日か休日かなんてどうでもいいんだ、私みたいな人間にとっては。ひとまずこのファミレスにて仮眠させていただこう。

と、思った束の間、レジの付近で揉め事が起きる。どうやら呼び鈴を押しても応対してくれなかったらしいスーツ姿の男性客が、慌ててレジに戻ろうとしている店員さんにキレて帰っていったようだ。さっきから見ているとファミレスのホールはほとんど一人で回しているようだったから、これはいくらなんでも店員さんが気の毒だ。男性は「もういいから!」と、吐き捨てるようにドアを開けて乱暴に外へ出て行ったが、見ず知らずの他人に対してよくあんな風に接することができるなあ。何かによっぽど追い込まれてたんだろう。いやいやまったく都会には色々な人がいる。そういえば、深夜のマクドナルドにも色々な人がいたなあ。意外と年配の人も多かった。三日もいたからなのか、なんとなくこの付近の土地柄も少しずつ分かってきた気がする。

ファミレスで10時まで爆睡。それから郵便局にてなけなしのお金を下ろし、駅へ向かう。今宵はやはり新潟に向かうことにしよう。もろもろ限界だ。しかし、何の工夫もなく実家に帰ると絶対に何もしたくないモードに強制的に入ってしまうから、東京にいるときに感じる、この「自分で動かなかったら本当に何も始まってくれないんだな」という感覚を忘れないようにしたい。そのためにこそ、今の自分が感じていることをしっかりと書き残しておきたい。

(更新中)