12月24日(木)

 

中学の頃、卓球部だった。ふと「中学の頃に何部だったか」は、その後の人生に思った以上に大きな影響を与えるのではないかという気がしてこの記事を書きはじめた。ちなみに今日はクリスマスイブらしいけれど、クリスマスイブらしいこと何一つ私の身に起こっていない。ラジオでもう何百遍も聞いた有名どころのクリスマスソングを次から次に聞かされたくらい。さすがにもう飽きたわいい加減やめてくれ、とはならないのが不思議。童謡を聴いても飽きないみたいな感じでクリスマスソング系の曲はもう自分の中で殿堂入りしているんだろう、まったく飽きない。というか、さっきから胃の調子が悪い。胃から酸っぱいものが込み上げてくる。夕飯に食べたスパゲティが意外と重かった。久しぶりに肉を食ったからだろうか。

中学の頃の部活の話をしたい。中学の頃、卓球部だった。この事実だけで300記事くらい書けるんじゃないかと思う。それほど思い入れがある。卓球部に所属したという事実は、今の私のアイデンティティの根幹にしぶとく絡み付いて離さない。長く忘れていたけれどやっぱりおれは卓球部だった。私はこの話を最後まで書き終切れるのだろうか、自信がない。元卓球部という切り口から始めると、話すべきトピックが多すぎてどこから話せばいいか分からない。もしかするとこの記事では全てを書ききれないかもしれない。というか無理だろう。でも私が中学の頃に卓球部だったという事実自体はこれから先も永遠に変わらないのだから、また思い立ったときに続きを書きたいと思う。弱腰だけど、相手が巨大すぎるので仕方がない。

中学の頃、卓球部だった。自分がどんな中学に入るかはあらかじめ地区によって決められている。しかし、自分がどんな部活に入るかは個人の意志で決められる。もしかすると多くの人にとって「中学に入ってから何部に入るのか」という選択は、生まれてはじめての自分で自分のことを決める自己決定の機会なのではないか。少なくとも私はそうだった。小学六年生の頃、「中学に入学したら自分で自分の入部する部活を選択しなければならない」と知ったときから、なぜか私はそのこと自体が憂鬱でたまらなかった。自分が入学する中学の部活を洗い出し、新聞の端にそれぞれの部活に対する自分なりも評価と分析を書き留めていた記憶がある。すでに高校生だった四歳上の姉にもよく相談していた。どの部活なら大丈夫で、どの部活だと大丈夫じゃないのか。必死だった。

当時の私の頭にあったのは、「どうすればいじめられないのか」ということだけだった。中学に入ってから自分はどのような立ち振る舞いをすればクラスから排除されないのか、そのことばかり考えていた。不安で仕方がなかったのだった。

その点から考えると、卓球部に入るというチョイスは実に私らしい落としどころという感じがする。というか、卓球部に入るとチョイスしたことから私の人生が始まっているのだから、考えてみれば当然なのかもしれない。私という人間は、中学の頃に卓球部に入学すると決めたあの12歳の頃の私から始まっている。

今でも、あのとき卓球部を選んだときの、なんとも言えない気持ちを思い出すことがある。今思えば、19歳の頃に結局地元の国立大学を受験することに決めたのも、あのときの気持ちを引きずっていたんじゃないかという気がするし、それ以外でも私の人生にあった様々なチョイスは、どれも12歳の頃の自分の先例を参考にして決めてきたような感じもする。考えすぎだろうか、でも、それくらい大きな選択だった。

当時の私にとって、卓球部に入るという自分の選択は、一言で言うと、不服だった。でも、仕方がなかったし、今となっては入って良かったとも思っている。しかし当時の私としては、絶望的というか、自分の人生にゆっくりシャッターが閉ざされていく感じというか、悔しいという虚しいというか、やるせなかった。なんともいえない、喉の奥がグッと落ち窪んでいくような気持ちだった。あのときの気持ち。あのときの気持ちは今の私はもう忘れてしまった。思い出したくもない。あんな思いをしないで済むのだから、大人になって良かったと思う。

当時の私に何があったのか。じつは当初、私はサッカー部に入りたかったのだった。いや、でもそれがほんとうに自分の意思だったのかどうかは分からない。ほんとうの気持ちを言えば、何も選択したくなかった、ということになるのだろう。でも帰宅部になりたかったかと言うと、それも違う。そもそも私の通っていた中学では必ず部活に所属しなければならなかったので、それはありえないわけだけど、「あるものから選ぶ」という制限の中で選択したチョイスだったので、ほんとうの自分の気持ちで決めたとは言えない。だが、この世のありとあらゆる選択において、完全に制限がない中で行われる意思決定なんてないわけなので、常識的な範囲で考えて私はやっぱりサッカー部に入りたかったのだと思う。理由は仲良くしている友達の多くがサッカー部に入ると言っていたことと、自分もよく学校の休み時間にサッカーで遊んでいたこと、それからサッカー部って少しイケてる感じがするんじゃないか(自分には分不相応かもしれないけれど)と思ったからだった。

そんなわけで、私はほんとうはサッカー部志望だったのだった。しかし、それが卓球部になった。なってしまったのだった。なぜなのか。これはもう私の中の一種のトラウマを語ることになるので、とても今は書けない。まずnoteには書けない。あんな人通りの多いゴミゴミしたところで書いたら、自分のトラウマを踏みにじられるんじゃないかと思って怖い。だが書きたい気持ちは常にある。書いて、外化したい。