7月10日(土)

今日は酒を飲むと決めていた。このあいだ買ってきた安いウイスキーを適当に水で割って四杯くらい飲んだらベロベロになって、ベッドに倒れ込んでそのまま寝ていた。身体が溶けて、そのままベッドの一部になってしまったかのようだった。

11時半頃に目が覚めると、驚くほどスッキリ。ここ数日、こめかみの辺りになにか固いものが詰まっているような感覚があったのだけど、それがハッキリとなくなって視界がクリアになった。でもその代わり、ときどきズキンと頭痛がするようになったのは、まあ酒を飲んだからなのだろう。やっぱり完全に回復しているわけではないのだろうから、明日はひさしぶりに昼まで寝たいと思う。

そういえば昨夜はなぜか寝付けなくて、なんだかんだで午前四時頃になるまで布団の中で目が冴えていた。起床したのが九時過ぎだったので、昨日の睡眠時間が五時間弱。私にしてはかなり短い。でも、不思議なことに、その割りには寝覚めがわりとスッキリしていた。今朝起きたとき「あーー寝た、ちゃんと寝た」という気持ちになった。あれはなんだったのだろう。あんまり長く寝れば良いってものではないのかもしれない。

私の場合、やることがないから寝過ぎてしまう、という面がある。やることなんて本当は無限にあるはずなのだけど、「どうしてもやらなければならないこと」や「どうしてもやりたいと思っていること」となると、じつはそんなにない。そして、そのことが私の身体も分かっているので、結局、睡眠の快楽を優先させてしまうのだった。睡眠の快楽に匹敵する喜びを日々の中に見つけることは、私にとってはまあまあ難しい。

睡眠は意志の力を超えている。睡眠って端的に言えば「意識を失う」ことなので、意識でどうにかなるものではない。寝よう寝ようと思ったら、余計に寝られなくなる。眠りに落ちる瞬間は、いつも無意識。無意識に身を委ねることができないと、寝ることもできない。

とすると、無意識に身を委ねることが快楽なのかもしれない、と、書きながら思った。日記を書くのもそうだ。書こう書こうと思うと途端に書けなくなる、というか書くことが途端につまらなくなるのだけれど、無意識に身を委ねるようにして書くと、いつまでも書いていられるような気持ちになる。なんというか、自分の身体から一本の細い糸が生えてきて、それがスルスルと空に向かって伸びていくような。しまいには身体ごと文章の中にもぐり込んで、そのまま長細い何か一束の線状のもの、そうめんの一人前みたいな、そういうものになっていけたら気持ちいいだろうなあ。