8月10日(火)

ピアノを買うか買わないかギリギリのところで迷う日々を続けている。この日記にも以前書いたが、いま何が欲しいかと尋ねられたら、私は真っ先にキーボードと答える。スピーカー内蔵で、電池駆動も可能。軽量で持ち運びしやすく、いつでもどこでも電源ボタンをワンタッチで始められる手軽さ。しかし、鍵盤のタッチも本物に近く、音色もハイクオリティ。そんな手軽さと品質を兼ね備えたキーボードもしくは電子ピアノはどこかにないものか。最近はそのことばかり考えている。最近の楽しみといったら、それを考えることくらい。

というか、むしろ最近は考えすぎて苦しくなってきている。経験上、考えるのが苦しくなったらもう考えるのをやめて、えいやっと行動したほうがいい。そもそもキーボードは手段でしかなく、目的はピアノを弾くことなのだから、手前のところで考えていても仕方がない。

先日、中古屋であるキーボードを見つけた。YAMAHAのpiaggeroシリーズ NP-12b。店頭で最初に見かけたときにグッとくるものがあった。私がずっと探していたキーボードはこれだったんじゃないか、と。試奏した後、家でよくよく調べてみると、こちら、私が冒頭に挙げた主要な要素をほぼ満たしている。軽量、スピーカー内蔵、電池駆動、キータッチの品質。なにより値段が14000円と破格だった。ケチを付けるとすれば、音色数が10個しかない点と、2016年製ということで、せっかく買うのに最新じゃないのかという残念感がある。

14000円の中古品に多くを望みすぎだということは分かっている。実際、今月に入ってからの私はもう何度もこれに決めかけていた。しかし、それでも安さに目を眩ませて本質を見失ってはならないという意識が最後の最後で自分を踏みとどまらせる。楽器としては安かろうが、生活資金を危ぶめることに変わりはない。せっかく買ったのにやっぱり要らなかったなんてことになるかもしれない。思わず弾きたくようなキーボードでなければ意味がないのだ。

思わず弾きたくなるキーボードとはどんなものか。私はこれまで手軽さが大切だと思っていた。しかし最近の私は、手軽さと同じくらい品質にもこだわったほうがいいのではないかと思うようになってきた。近頃の技術革新は凄まじく、数万円のキーボードでも高品質の音が鳴らせるようになっている。惚れ惚れするような音色が手に取ってすぐに鳴らせたらなんて素敵な生活になるだろうかと夢想する。NP-12は手軽さと本格さを兼ね備えていて個人的にかなり評価は高いのだが、残念ながら音色にそこまでのクオリティはない。私が当初買おうと思っていたCASIOのCT-S1と比較しても音質の差は歴然。しかしこちらはキータッチに不満があり、値段も3万近くなってしまう。音色以外の面ではNP-12に軍配が上がることを考えると、3万も出して買おうとは思えない。どうせ3万出すならクオリティを求めてもっと高い5万とか7万とかのを買った方がいいんじゃないか。

そんな中で、新たに選択肢に浮上してきたのが、CASIOのPrivia PX-S1000 およびその後継機PX-S1100なのだった。ネットで調べる限りかなり良さそうだった。今度の休日、試奏して確かめてみたい。