#15

何かの雑誌に掲載されていた、哲学者の國分功一郎さんと千葉雅也さんの対談で「人間には『心の闇』が必要だ。今の世の中は、本来は闇に隠れているべきはずの心の内側に光が当てられすぎている」というような話が語られていたことがあった。「心の闇」という…

#14

放っておけばセーターは伸びるし、あちこちに毛玉が付いたり、生地が痛んで穴が開いたりする。髪の毛だって放っておいたら伸び放題になって、もみ上げやら襟足やらが乱雑にはみ出してみっともなくなったりする。私の髪は天然パーマだから、伸びたらなおさら…

#13

5日目のビリーズブートキャンプを終え、駅前のタリーズまで足を伸ばした。時刻は午後3時4分。少し大きめのBGMに紛れて、右隣に少し離れて座っている女の子たち二人が、とりとめもない話をしているのが聞こえる。英語の勉強をしているのだろうか、机の…

天パ日記について

人間には、最低でも三つの顔がある。一つは社会や世間などの不特定多数の「みんな」に向けて話す顔、もう一つは家族や恋人・友人などの特定少数の「なかま」に向けて話す顔、最後は自分で自分と向き合ったときに現れる顔。 「みんな」の中には多種多様な人が…

#12

屋内にいるのに、空気が冷たい。こんな夜は考え事ばかりしてしまう。 一人にならないと文章は書けない。一人でいるときと誰かといるときでは、物事の考え方も世界に対する感じ方も、何かが微妙に違ってくる。その違いに敏感になりたい、みたいなことを考える…

#11

昨日は日が落ちてからもじっとりと額に汗がにじむくらい暑かったのに、今朝は驚くほど空気が冷たい。起き抜けに、かろうじて持って来ていたセーターを一枚バックから取り出し、長袖のシャツの上から重ね着をする。けれど、それから歯を磨いたり布団を畳んだ…

#10

21時58分。新発田駅から新潟駅へ向かう列車に乗っている。自宅から駅まで30分ほど歩いてきたので、身体が軽く汗ばんでいる。左斜め前には30代後半の若手社長風の男性が二人が座っていて、なにやら大きな声で「草取りだって社長の仕事ですよ」「やっぱり新…

#9

19時14分。東京駅から新潟へ向かう高速バスの車中でこの日記を書いている。 一昨日、宿泊していた漫画喫茶にて、数ヶ月前にお世話になっていた方に連絡を送り、近くまで来ているので少しだけ顔を見せに伺うことはできないか、との申し出をした。了承を得…

#8

胃もたれの原因が分かった。きっとマクドナルドにいたせいだ。昨日も、私はマクドナルドにいた。百円でいつまでも座れて、しかもネットもタダで使えるから、どうしたって私はマックを選んでしまうのだった。水とハンバーガーを注文すると、私は二階へ上がり…

#7

猛烈な眠気に襲われている。時刻は8時35分。 朝靄が立ち込める中、マクドナルドを出た私は、空腹に耐えきれず結局すき家へ向かった。ひとくち目に口にした牛丼は溶けるように甘かったが、それからは味わおうという気も起きることなく、ものの一分ほどで完…

#6

明日、人と会う約束があるのだが、なぜかヘンなスイッチが入ってしまい、今夜は寝ないことにした。午後8時くらいからひたすら意味もなくマクドナルドで粘っている。現在時刻は午前1時37分。客は私とあと二人しかいない。そして今、そのうちの一人が荷物…

#5

時刻は10時58分。宿の屋上にて、洗濯機が回り終わるのを待っている。宿のスタッフの方が大変親切で、チェックアウトは11時だというのに、洗濯が終わるまで中で待っていても良いと言ってくれた。ありがたい。布団もフカフカだったし、値段もかなり安か…

#4

東京に来て、5日目。そろそろ予算が尽きてきて、都会の目新しさも感じられなくなっている。朝起きたらまた次の宿を確保しなければならないというのは、なかなか大変だ。宿を探すためにはまず、インターネットの使える場所で腰を落ち着かせなければならず、…

#3

さきほど、あてどもなく道を歩いていたら、路上にツバを吐きつける三十代半ばくらいのスーツ姿の男性とばっちり目が合ってしまった。私はすぐに目を逸らしてそのまま等速で歩き続けたのだけれど、後ろの方から「おい」という、明らかに私に絡んで来ようとし…

#2

二日前にも利用した宿の安さを気に入り、今晩もまた同じ宿に泊まりに来ていた。が、隣で寝ている客のイビキがでかすぎて、ろくに寝られやしない。なんなんだろうまじで。スマホを見ると、時刻は7時11分。たしか昨夜は深夜3時ぐらいまで寝付けなかったから、…

#1

面倒くさいからいつも下書きなしでブログを公開するのだけれども、そのせいで一行一行に対する《「あの人がもしこれを見たらどう思うかな?」チェック》が甘くなってしまいがちだ。「あの人はこう思うだろうけど、でもあの人は…」みたいなことを繰り返してい…

目が覚めた。時刻は9時10分。頭がくらくらするのは収まったが、まだ布団に寝転んでいるからなのか、いまいち目が冴えない。チェックアウトまであと50分。そろそろ歯を磨いて、顔を洗って、服を着替えよう。 その前に、今朝見た夢が個人的に爽快だったの…

さっきから真下にいる人と左下辺りにいる人が何やら話をしている。最初は英語かなあと思ったけど、ところどころで「シュ」とか「ホボゥ」とか「ティヒ」とか言っているのが聞こえるから、もしかしたらフランス語とかその辺かもしれない。まあべつになんだっ…

「ゲストハウス」

この間、北海道へ旅行に行ってきたのだけど、そのときに一泊だけ滞在したゲストハウスがふつうにいい感じだったので、驚いた。そのゲストハウスがいい感じだったことに驚いた、というより、そのゲストハウスをいい感じだと思えた自分に驚いた、と書いた方が…

「SAN値」

同年代の人と打ち解けるのが苦手だった。とくに、大学に入学してから周囲の人に対して感じた違和感にはすさまじいものがあった。私は高校を卒業してから予備校の寮に入り、そこで一年間ほとんど誰とも口をきくことのない囚人のような毎日を過ごしていたので…

後輪がパンクした

外を出歩いているとき、「ひとまずどこかで落ち着きたい」と私はすぐに思う。カフェでもいい、ファミレスでもいい、ベンチでもいい、駐車場でもいい。とにかく一旦移動するのを止めて、涼しくて静かな場所で何もせずただぼうっとしていたいとすぐに思う。し…

八王子

午後8時18分。銭湯から上がり、店のすぐ目の前に見つけたベンチで身体を休めている。これからどうしようか。温まった身体が夜風で少しずつ冷えていく。今くらいの季節になると、日が落ちてからのほうがむしろ過ごしやすい。 地面に投げ出したリュックサッ…

横浜

先月末から横浜にある知人の家にお邪魔している。詳細は省くけれど、この家はふつうの家と違って(関係者の皆様には大変恐縮ですが便宜上ものすごく簡単にまとめさせていただくと)ネット上で広く「誰でも遊びに来られる場所」として開放されているため、全…

コンビニ

本当に幸せな人なんているのだろうか。それはただ「幸せ」だと思い込もうとしているだけなのではないだろうか。あるときある瞬間、「これはたしかに幸せだ…」と感じる一瞬があったとしても、その瞬間が過ぎてしまえば、また、今まで何度となく付き合ってきた…

保育園

私がまだ保育園に通っていた頃。体育館の隅にある遊具の周りで、幼馴染の友人K君と二人でおしゃべりをしていたことがあった。そのときどんなことを話していたのかはもう覚えていないけれど、K君の話すことに対して私が何か気の利いたことを付け加えて返答…

小さな寂しさ

薄く雲がかかっているけれど、今日はよく晴れて良い一日になった。気温もほどほどで過ごしやすい。こういう日にドライブをしたり外で思いっきり体を動かしたりしたら、夕飯を食べた後、さぞ気持ち良い風呂に浸かれるんだろうなあと思いつつなぜか私の脳みそ…

実家に帰ってくると途端にあらゆる意欲が剥ぎ取られていく。たぶん家の中の居心地が良すぎるからだろう。家にいれば、昼食に何を食べようかと考える前に昼食が出てくるし、ちょっと暇潰しにスマホでもイジリたいなと思う前に惰性でスマホを開いてしまうし、…

流木

浜辺で靴を脱いで裸足になり、いい感じの流木を枕にして砂に身体を横たわらせていたら、うっかり眠りに落ちてしまった。時刻は午後5時14分。正午頃にこの浜辺に着いたときはまだ日差しが強く、軽く歩いただけで額に汗がにじむほどだったけれど、それも今…

ラーメン

午前7時14分。東京駅八重洲南口近くの鍛冶橋駐車場から24時ちょうど発の高速バスに乗って、さきほど新潟駅南口に到着した。このまま実家のある新発田まで電車に乗って帰っても良かったのだけど、昨夜夕食を食べ忘れたのと朝の新潟が意外に肌寒かったの…

近況

祖父母の家を離れてからもう一か月以上が経つ。このブログにも書いて来たように、私は三月上旬から四月下旬にかけて父との二人暮らしに限界を感じて生活の拠点を祖父母の家に移していたのだが、実は数週間前、いろいろなことにケジメをつけないまま、なんと…